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地球時代と平和への思想
堀尾 輝久 著
著者は、第二次世界大戦の終結を転機として、「反ファシズムと人権・民主主義・平和への努力、植民地の解放を求める価値観の転換を基軸とする〈人類と地球の再発見時代・地球時代〉の始まり」と捉える。だがいま、「コロナ禍の広がり、ウクライナ戦争、地球環境の悪化は深刻である」。このとき拠るべきものは何か。「国連憲章、ユネスコ憲章、核兵器禁止条約、そして平和憲法をこそ生かさなければ日本も世界〈地球〉の未来もない。非戦、非核、非武装、非暴力の〈平和に生きる権利〉こそ豊かに根づかせねばならない。〈戦争と抑圧の文化と教育〉は〈平和と解放の文化と教育〉に変わらなければならない」(本書「まえがき」より)。
収録された講演録の数々は著者の思いをよく伝え、折々に発表された論稿は著者の強靭な思索の軌跡を示している。渾身の力作。
堀尾 輝久(ほりお てるひさ) 1933年生まれ。東京大学法学部卒、同人文科学研究科教育学、博士。教育思想史。東京大学名誉教授。日本教育学会会長、日本教育法学会会長、総合人間学会会長、日本学術会議会員など歴任。現在、「子どもの権利条約市民・NGOの会」代表、「9条地球憲章の会」代表。
著書に『現代教育の思想と構造―国民の教育権と教育の自由の確立のために―』、『人権としての教育』、『天皇制国家と教育 近代日本教育思想史研究』、『ピース・ブック』、対談集『自由な人間主体を求めて』など。
目次
まえがき
第1部 地球時代とその課題認識
地球時代の教育課題―21世紀を展望して
地球時代とその教育―平和・人権・共生の文化を
地球時代へ向けて―人権・子どもの権利と平和の文化を
環境問題と教育―地球時代の視点から
地球時代をどう生きるか―地球倫理と未来世代の視点から
第2部 地球平和憲章への歩み
戦争と教育、そして平和へ
改憲とは「国のかたち」を変えること―自民党改憲案と安倍内閣の執念
地球平和憲章を創ろう
いま、憲法を考える―9条の精神で地球憲章を!
地球平和憲章の発表とそれを支える思想
[資料]「9条地球憲章の会」設立趣意書
[資料] 地球平和憲章 日本発モデル案
地球平和憲章とそれを支える思想(講演)
[資料] 地球平和憲章の歌
第3部 平和への思想
民主主義と平和の教育―民主教育研究所創立30周年記念に寄せて
丸山眞男の平和思想―地球平和憲章の理念を深め運動を拡げる視点から
憲法9条と幣原喜重郎―憲法調査会会長高柳賢三・マッカーサー元帥の往復書簡を中心に
アインシュタインとフロイト―二人の平和主義者の『ひとはなぜ戦争をするのか』に寄せて
3・11から一年余―ことばと情念、祈りと歌
福島から広島へ―求められる地球時代感覚
沖縄が問うている感覚―私たちは試されている
アジアの中の憲法9条―李京柱さんとの対話から
「60年代のアフリカ」から思うこと―アフリカの独立と日本国憲法の影響
地球時代の価値と教育の課題―地中海地域比較教育学会(MESCE)での基調講演から
映画「コスタリカの奇跡」を上映して
地球の守り人クストー
―服部英二編著『未来世代の権利 地球倫理の先覚者J・Y・クストー』を読む
新型コロナのパンデミックのなかで思うこと―世界のこと、子どものこと、自分のこと
安保法制違憲訴訟の原告として
1 安保法制違憲訴訟原告団に加わって
2 安保法制違憲訴訟における陳述書―軍国少年からの転生
3 東京高等裁判所陳述書(2022年2月4日)
終わりに 目の前の戦争
ウクライナ戦争が提起する問題
[資料] プーチンロシア大統領によるウクライナ侵略への抗議声明(「9条地球憲章の会」)
あとがき
判型 四六判並製 472頁
ISBN 978−4−7807−2228−4
定価 3200円(税込み)
刊行日 2023年1月21日
重量 450g