労働総研ブックレットNo1.フランス、イギリス 働くルールと生活保障の最新事情ー日本が学ぶことを探す旅
型番 ISBN978-4-7807-0790-8 C0336
定価 628円(税57円)
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労働総研ブックレットNo.1
編 者●労働総研・フランス、イギリス調査団(岡田則男・柴田外志明・藤田宏・三成一郎)
A5判・72ページ

【労働総研ブックレット発刊のことば】
 日本の労働運動は、新しい発展への歴史的転機を迎えているといわれて久しい。そして、直面する課題は山積している。
一九九〇年代以降の歴代政権による市場万能主義の「構造改革」政策によって、労働者は雇用と労働環境の劣化、貧困と格差の拡大、社会保障の解体の危機などにみまわれた。一九九八年秋のリーマンショックは、その新自由主義政策の矛盾を爆発させ、日本経済は内需不振と「デフレ不況」にあえいでいる。他方でアメリカの財政危機・ドル危機の影響は、アメリカに従属する日本を直撃している。
 二〇一一年三月一一日に発生した東日本大震災と福島原発事故は、これまでの日本の経済・社会の在り方を根底から問い直している。そして労働者・労働組合は暮らしと権利を守るために、国民諸階層との連帯を深めており、そのなかで明日への展望を切り開くためにゆるがせにできない課題が「可視化」してきているのである。
 資本主義社会にあって、社会変革の先頭に立つのは、いつの時代も労働者と労働組合であり、その固有の課題の一つはILO(国際労働機関)が提起した「ディーセントワーク」(働きがいのある人間らしい労働)の実現であろう。
 労働総研(労働運動総合研究所)は、全労連との「緊密な協力・共同のもとに、運動の発展に積極的に寄与する調査研究・政策活動をすすめる」ために、一九八九年一二月に設立された。以来、全労連のたたかいの歩みと重ねあわせて、全労連と協力・共同して、労働運動への実践的な理論政策課題に取り組んできた。
 この労働総研ブックレットは、労働総研の二〇年余の調査研究・政策活動の基礎の上に立って、研究者と労働運動の実践家の協力・共同の組織であるという労働総研の利点を生かして、〝出番のとき〟を迎えている労働運動の新しい前進に寄与することを目的に刊行するものである。
 読者の皆さまが、職場・地域から労働運動の前進をめざして、このブックレットを大いに活用されることを願ってやまない。  (二〇一一年九月、創刊にあたって)

 本書は、フランスとイギリスの働くルールと生活保障の最新事情についてのたんなる紹介ではない。フランス、イギリスの現実から学びながら、日本で働くルールと生活保障をどう確立していくかという視点を提起することがもうひとつの目的である。それがどの程度成功しているのか。ページをめくっていただくなかで、何か〝新たな発見〟があれば、望外の喜びである。(「はじめに」より)

〈目次〉
 はじめに …………………………………………………………………………………………… 5
 第一章 フランスの労働者生活と生活保障 …………………………………………………… 7
1 「週三五時間労働制」の現在(いま) 8 2 バカンス発祥の国 14
3 最低賃金と国民・労働者の生活 18 4 フランスの生活保障制度 20
 第二章 イギリスの働くルールと福祉政策 ………………………………………………… 33
1 「長時間労働の国」の現実 34 2 全国一律最低賃金制度確立から一〇余年 38
3 失業者への生活支援──失業保険、失業扶助、職業紹介 40
4 「ゆりかごから墓場」まで──手厚い生活扶助制度 43
5 安定した雇用の確立へ──非正規労働者の権利保障 49
6 イギリスの解雇規制 55
 第三章 日本が学ぶこと──人間らしく生き、働くことのできるルールの確立めざし … 58
1 フランスのバカンス・有給休暇──土台に労働組合の力が 60
2 働くルールを国の法律として確立する──労使自治の国から法律による規制へ 63
3 イギリスの最賃闘争──すべての労働者を視野に労働条件底上げ重視 65
4 「富をつくるのは労働者」──企業主義の克服 67
5 財源問題を考える 70
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