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ISBN978-4-7807-0669-7 C0093 ¥1429 |
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1,572円(税143円) |
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四六判 176ページ 並製 2012年08月17日発行(予約受付中)
齊藤 弥四郎(サイトウ ヤシロウ) 著
1950年生まれ。千葉県公立小中学校勤務、御宿小学校長を最後に退職。現在・夷隅民話の会会長 ・日本民話の会会員
〈著書〉
『過疎の町から』、『夷隅郡の昔ばなし』、『外房文学のふるさと』崙書房、『中学生物語』百合出版、『檜枝岐物語』、『山峡少年記』歴史春秋社、『いすみ鉄道民話の旅』、『大多喜民話の旅』、『大多喜町の民話正・続』、『絵本・曼珠沙華寺』
『絵本・大多喜の大蛇』『絵本・大多喜水道物語』『日本・メキシコ友好物語』『英訳大多喜町の民話正・続』大多喜町、『夷隅地方の民話1集〜9集』私家版 等
〈共著〉
『人間の在り方を求める体験学習』ぎょうせい、『房総のふるさと言葉』図書刊行会、『夷隅むかしむかし第1集〜6集』『大多喜町ふるさと民話さんぽ上・中・下』『御宿町民話さんぽ』夷隅民話の会 等
【紹介】
昭和40年代高度経済成長のさなか、経済的な豊かさの追求と
青少年の情操教育の狭間で
家庭も学校も行政も地域も揺れ動いた。
青少年の心に灯をともそうと、「月の沙漠記念像建立」を
加藤まさをに願い出た商工会会長内山保。
そして記念像建立には、青年詩人と純情可憐な少年の出会いという前段があった。
のどかな乗合馬車、
台っこの向こうに起伏した砂山、
そこに立ったりねそべったりしていた牛、
あれもこれも懐かしい遠い御宿の姿。
(略)御宿は日本中で一番懐かしいところです。
「加藤まさを 書簡」より
【もくじ】
第1章 童謡「月の沙漠」と御宿町 7
外房御宿町 8
御宿町は童謡「月の沙漠」の舞台 12
加藤まさをと内山保の出会い 19
出生地、藤枝市からの質問状 23
本多勝一『アラビア遊牧民』と「月の沙漠」 27
大正時代の御宿町 30
第2章 加藤まさをが見た御宿風景 39
御宿での療養生活 40
目覚める恋心 48
『逃げた猿』のモデルは内山少年 55
悲しみと愁いの作品 61
第3章 加藤まさをの生い立ち 63
病弱な少年 64
高輪中学に進学 68
立教大学英文科進学 69
立教大学英文科卒業 72
薔薇を愛した青年 78
スポーツマン加藤まさを 81
絵本作家 83
年譜 83
第4章 童謡「月の沙漠」誕生 87
「月の沙漠」を少女倶楽部に発表 88
作曲 佐々木すぐる 90
歌 柳井はるみ 97
第5章 「月の沙漠」記念像 建設 101
汚染された童心を洗い清めたい 102
レジャーブームにわく日本 104
キャンプ全面禁止 106
観光と青少年育成 108
歓迎会 111
みんなで歌おう「月の沙漠」 112
集まる寄付金 115
ミス「月の沙漠」 116
「月の沙漠記念像」除幕式 117
全国に大反響 119
観光客一〇〇万人突破 124
受難つづきのラクダ像 127
よごれていては人の心は洗えぬ 131
第6章 東京から御宿町へ 135
第二の故郷御宿町に 136
御宿町に移住 143
天国へ 143
お別れの言葉 146
加藤まさを夫人 148
青年詩人と内山少年の友情 152
第7章 歌い継がれる 童謡「月の沙漠」 153
月の沙漠記念館 154
加藤まさを生誕百周年記念事業 157
童謡「月の沙漠」に魅せられた音楽家「真木順子」 159
月の沙漠音楽祭 167
日本人の心に残る歌ベスト五位 170
あとがき 171
夜、眠るとき、ひとしきり昔話をせがむ。昔話が終わっても眠らない時は童謡を歌ってくれた。かなりや、おぼろ月夜、雨降りお月さん、そして「月の沙漠」と、もの哀しいメロディーだった。母は曲のリズムに合わせて、蒲団の上からやさしくたたきながら唄う。私の脳裏には童謡集の挿し絵が浮かんでくる。
「月の沙漠」、煌々と照る月下、ターバンを巻いた美しい王子様と白いシルクのお姫様。王子様の腰にはそり返った短い剣。お姫様の胸元には金色のネックレス。ラクダの背に結ばれた金色と銀色の瓶……。黒い長い影が小麦色の砂丘に映し出される。ラクダはゆっくりゆっくり進む。黒い影もゆっくりゆっくり進む。規則正しくきざまれて行くラクダの足跡。夢の世界をさまよいやがて寝入る。
(「あとがき」より抜粋)