青山　淳平：著
四六判 328ページ 上製
定価：1,800円＋税
ISBN978-4-7807-1115-8 C0093
2013年9月発行

がんの腎臓を摘出して病巣を取り除き、再び人体に移植する――命をつなげたい患者の思いを受けとめてこの究極の手術にいどんだ移植医がいる。
許されるのか、無謀なのか。
この長編小説は、幾多の妨害とたたかってその道をこじ開けた人たちの感動のドラマである。
難波紘二（鹿鳴荘病理研究所、広島大学名誉教授）


二〇〇九年一月二十七日、厚労省は……都道府県、各指定都市と中核市へ、「臓器の移植に関する法律」の運用に関する指針（ガイドライン）の取り扱いについて通達をだし、「いわゆる病腎移植の臨床研究の実施に際し、対象疾患についてはガイドラインにおいて特段制限していないこと」（がんの病腎も臨床研究に関する倫理指針を遵守すれば、移植してよい）等につき、管下の医療機関等へ周知するように指示した。
医療法人徳洲会では、同年十二月に臨床研究の修復腎移植の第一例を実施。以後、二〇一三年八月までに十二例の修復腎移植をおこなっているが、ドナーもレシピエントも元気に社会生活を送っている。

目次
星座　５
予兆　30
売買　51
病腎　67
指弾　98
支援　118
対立　144
決起　172
弾圧　196
禁止　223
処分　252
春雷　283


著者プロフィール
青山　淳平（アオヤマ　ジュンペイ）
一九四九年山口県下関生まれ。愛媛の県立高校の教員のかたわら執筆活動。国家と個人のあり方をみつめた著書多数。単著に『海市かいしのかなた―戦艦「陸奥」引揚げ』（中央公論新社）、『夢は大衆にあり
―小説・坪内寿夫』（中央公論新社）、『海にかける虹―大田中将遺児アキコの歳月』
（ＮＨＫ出版）、『人、それぞれの本懐―生き方の作法』（愛媛出版文化賞）（社会思想社）、『司令の桜―人と歴史の物語』（社会思想社）、『長英逃亡潜伏記―高野長英と伊達宗城異聞』（光人社）、『腎臓移植最前線―いのちと向き合う男たち』（光人社）、『海は語らない―ビハール号事件と戦犯裁判』（光人社）、『「坂の上の雲」と潮風の系譜―司馬遼太郎が敬愛した日本人』（光人社）、『明治の空―至
誠の人新田長次郎』（燃焼社）、『海運王・山下亀三郎』（光人社）など。