本書は、一九八〇年、元小松市立女子高等学校における倫理社会教育の新しい試みを、『生命の出会い――生徒と学ぶ人間の探求――』というタイトルで世に問うた記録の新装版である。発行当時、大きな反響を呼び、地元の新聞でも紹介され、編著者自身もその後、石川県高校社会科研究会や思想文学関係の学会でも発表の機会を持つことができた。
　この度、書名は『教育的創造――生徒と学ぶ人間の探究――』としているが、内容は旧版の誤植訂正と語句の部分的な修正及び生徒の作品一編の加筆以外大幅な改変は行わなかった。新鮮な感覚と密度の高い表現を求めてやまなかった当時の充電されたイメージを大切にしたかったからである。（『新装版　あとがき』より抜粋）

西　秀隆（ニシ　ヒデタカ）
●編著者プロフィール
西　秀隆（にし　ひでたか）
（筆名　舟見　丘人）

1932年 石川県に生まれる

職歴
1951年 高校二年修了後、一年間関西の民間会社に勤務
1954年 高校卒業後石川県能美郡公立小学校助教諭。
中島小学校（６年間）
1960年 小学校教員免許取得
和気小学校教諭（４年間）
1964年 小松市立稚松小学校教諭（２年間）
1966年 高校（杜会科）教員免許取得
小松市立女子高校社会科教諭（倫理・社会、世界史）
（23年間、うち４年間英語も担当）
1990年 金沢経済大学非常勤講師（ドイツ語） （２年間）
1992年 石川県立寺井高校非常勤講師（英語）（１年間）
1994年　小松短期大学非常勤講師（ディベートによる思考力訓練）（３年間）
1992年〜2003年　石川県社会教育センターでドイツ語（数年間）、小松中日文化センターでドイツ語および「地中海文化への招待」などの講座を担当（約10年間）

学歴
1965年 慶応義塾大学文学部卒業
1972年 金沢大学法文学部大学院ドイツ文学研究科合格（勤務の傍ら３年間学ぶ）
1989年 東方学院（関西教室）で原始仏教を学ぶ（１年間）

主著
　いのち
「生命の出会い――生徒と学ぶ人間の探求――」
（小松市立女子高等学校発行　製作中央公論事業出版）
「私たちのゲーテ」（素人社）
「まなざしと想像力」（創林社）
詩集「夢の破片」（近代文芸社）
『道はるか――若き日の思索と実践』（文芸社）

編著
学級文集、学習感想詩文集　約30冊
個人誌「ぜふぃろす」（全百号580ページ、西風舎）
サ−クル活動
1989年より「石川ゲーテ友の会」を主宰
日本ペンクラブ会員　国際ゲーテ協会会員

目次
序 中村　元 ?
生きることと学ぶこと 堀内　守 ?

?　期待と失意の日々 3

?　回想の子どもたち 17
一　れんげ花咲く野辺に 19
二　「魂あいふれて」より 36

?　授業の再生をめざして 51
一　教育の「詩と真実」 53
二　方法の再発見 72
　　　視聴覚的方法 72
　　　つづり方的方法 80

?　心の開眼　――主題学習の実例より―― 99
一　中世キリスト教の光 101
二　私たちのカント 140
三　ドン・キホーテを追いかける 194

?　集団思考の歩みより 239
一　ペスタロッチの教育愛を考える 241
二　アジアの曙光インドの心をたずねる 273

【付論】内なる眼　――学問と教育の間で―― 337

　　教育実践の姿を見つめて 寺本　信夫 361
　　あとがき 365
　　解説に代えて　――今、ひとたび西先生と―― 中野　光 370
　　新装版　あとがき 376